最高裁判所第三小法廷 昭和25(あ)1362 判決
主 文
本件上告を棄却する。
理 由
被告人AことB弁護人横田隼雄の上告趣意は後に添えた書面記載のとおりである。
同第一点ないし第三点について。
所論は、いずれも刑訴四〇五条の適法な上告理由にあたらない。殊に論旨は、上
告人が原審において、控訴趣旨として主張しなかつたところであり、従つて原判決
がなんら判断をしなかつたところである。そして、かかる主張は、上告の理由とし
ては許されないことは、当裁判所の判例とするところである(昭和二四年(れ)第
二七二号同二五年五月二日第三小法廷判決、集四巻五号七四二頁)。従つて、所論
は、この点においても適法な上告理由とはいえない。なお、特に刑訴四一一条を適
用すべき事由であるかどうかを考えて見るに所論第一点の、検察官の冒頭陳述につ
いては、公判調書にこれをした記載はないが、これだけで陳述がなかつたといい切
ることはできないし、かりにかかる陳述がなかつたとしても、その違法が、判決に
影響を及ぼすこと明らかであるとはいえない。また、第二点の所論は、引用の証人
の、検事の問に対する答のみを掲げて論難しているが、証人はその後で引続き詳細
に当時の犯罪の事情を述べているのであつて、第一審判決は、その部分を採用して
いることきわめて明らかであり、論旨は全く理由がない。さらに第三点の所論につ
いては、、刑訴三〇一条に定める「犯罪事実に関する他の証拠が取り調べられた後」
とは、すべての補強証拠が取り調べられた後という意味ではないことは、当裁判所
の判例とするところであり(昭和二年(あ)第八六五号同二六年六月一日第二小法
廷決定、集五巻七号四九頁)従つて、憲法違反の理由を生ずる余地がない。
よつて刑訴四〇八条により全裁判官一致の意見をもつて主文のとおり判決する。
昭和二七年二月一九日
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最高裁判所第三小法廷
裁判長裁判官 井 上 登
裁判官 島 保
裁判官 河 村 又 介
裁判官 小 林 俊 三
裁判官 本 村 善 太 郎
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